静かな町並みに溶け込む格子と塗り壁の和風邸宅
築110年、箱階段や欄間も美しく継承し上質な旅館に泊まっているよう
- 場所岐阜県土岐市
- 家族構成両親 + 夫婦 + 子ども1人
- 築年数110年
- リフォーム面積283.64㎡
- 工期1年2カ月
静かな町並みにしっくりと溶け込む格子と塗り壁の和風邸宅。築110年という風格はそのままに、近づいて見ると建具も瓦も新しいこの継承の技は見事。
地元の名士が建て、お祖父様が買い受けた住まいのリノベーションをKさんが検討し始めたのは、ご両親の家事負担や健康を考えてのことでした。「築100年以上ならではの趣を残したかったので、3年かけて高山や岩村にある古民家を見学しイメージを膨らませました」とKさん。お父様は「今後は息子の代になるので、改築は息子に任せることに決めました。
『弘栄さんの家は収納内まで無垢を張るなど、細部まで行き届いている』と息子が熱心に勧めてくれた上、担当の方の誠実な人柄も決め手になりました」と振り返ります。K邸はいったん構造のみにして耐震・断熱を施し、動線のいい間取りをゼロからつくり上げました。お母様は「玄関からパントリー・キッチン・洗面室が一直線に繋がり、家事が本当にラクです。冬の底冷えもないんですよ」とにっこり。「父が庭を眺めながら『毎日、高級旅館に泊まっているみたいだな』と喜んでいるのが何よりうれしいですね」。
【AFTER】外観:グレーの塗り壁にアンティークブラウンの木製の玄関戸や木格子と腰板壁、 印象を大きく変えずに和モダンな外観へ
【AFTER】建具職人が作った木製玄関戸
【AFTER】網代の下がり天井に間接照明が施され、何とも風情たっぷり。御影石の土間も上品です。
【AFTER】和室は昔の面影をそのままに。床の間や違い棚、欄間を美しく 再利用。上品な聚楽壁(京壁)にはエアコンを埋め込み、和室の快適性もアップ。
【AFTER】「暮らしの中で庭を自然に眺めたい」を実現
【AFTER】「普段寛ぐ場所は明るくしたい」というお母様の希望で、ヒノキ の無垢床に杉の天井、漆喰壁を使った明るいLDKが完成。勾配天井 になぐり加工の大梁が映え、見上げるのが楽しくなります。
【AFTER】既存の欄間を階段手摺にアレンジ
【AFTER】2階の子世帯のLDKは天井高を上げて、古民家らしい既存の梁を現し にしました。キッチンを後付けできるよう配管・配線も施してあります
【AFTER】収納力たっぷりの本棚がある、旦那様こだわりの書斎
【AFTER】「この箱階段は絶対に残したかったもののひとつです」とKさん。古い箱階段と 新設した壁・床が違和感なくなじむ、高い施工技術に驚かされます。
【AFTER】家の中心に作った一間幅の廊下の正面には、日本庭園の松を切り取る窓掛け軸のような粋な仕掛けに目を 奪われます。床は幅広で厚みのあるヒノキ板を使い、品格を高めま した。
【AFTER】下駄箱の上に小窓をつくり圧迫感をなくしました
【AFTER】開戸に細工がされたキッチンカウンター
【AFTER】TVカウンターと庭が望めるピクチァーウインドウ
【AFTER】木の鍵の細工を施した木製建具
【AFTER】時代の差を感じさせない職人手作りの木製建具
【AFTER】和モダンな手洗いは陶器の手洗いボウルを設えて、シッ クな雰囲気に